Catitulo 1 ラテンの洗礼 この物語の主人公の山下君は、入社5年目の商社マンです。MBAを取得しているだけあって、英語もペラペラで、グローバルスタンダードの信奉者です。少々エリート意識の強い山下君は、当然のようにニューヨーク駐在を希望していていました。ところが、人事からの辞令は、なんとラテンの国だったのです。駐在に向かう飛行機の中でもぶつぶつ言い続けるほど、この人事に不本意な山下君ですが、ラテンの国で大きな仕事を成し遂げて、ニューヨーク駐在の切符を手にしようと、自分にはっぱをかけます。ところが、ラテンの国はそれほど甘いところではありません。到着は予定よりも6時間も遅れるし、山下君の荷物も届きません。しかも、迎えに来ているはずの運転手の姿も見当たりません。ラテンの美女に救われたかと思えば、さっさと見捨てられ、公衆電話も壊れています。山下君へのラテンの洗礼は、さっそく空港から始まったのです。もちろん、この洗礼は、下宿先、オフィスでも続きます。山下君のイライラは募るばかり。 |
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