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著者からのメッセージ

ラテンの知恵には格差社会を楽しく生きるヒントがある!

『ラテンの秘伝書』は、日本からちょうど地球の裏側にあるラテンの国を舞台とした物語です。そこには、日本とはまったく違う、あるいは、日本ではすでに失われた文化や価値が生き続けています。
仕事よりも、家族、恋人、親戚、友人を大切にしています。目的を果たすことよりも、語らいや、フィエスタ、踊り、大勢での食事、恋愛を大切にしています。不確かな明日よりも、今を大切にしているのです。 
ラテンの人々が暮らしているのは、貧富の差、機会の不平等、インフレ、高い失業率、政治腐敗・汚職、凶悪犯罪などが多発する矛盾の渦巻く社会です。勝ち組と負け組に社会が二分され、ほとんどの人が負け組として生きています。
ところが、ラテンの人々は、ずっと以前からそのような社会で暮らす知恵を身につけてきています。だから、自殺もうつ病もありません。だって、生きていて楽しいから。だって、死とは何かを体感しているから。
一方、私たちが住むこの日本はどうでしょうか。
「人間らしくやりたいな。人間なんだから」――かつて作家の開高健が作った、こんな宣伝コピーが発せられる隙間がないほど、生き難い世の中になっています。明治以降の「がんばれ」という言葉にが、まだ幅を利かせているのです。また、価値観も生活様式も、戦後の高度成長期のままなのです。そして、効率が極限まで押し進められた結果、人間性が失われてしまったのです。
友達はいますか? 恋人はいますか? 家族はいますか? 親しい人に最近会いましたか? 好きなことをしていますか? 今を生きていますか? 楽しいですか?仕事ばかりしていませんか? 
日本では、社会と会社の歯車になることが、"真面目"とみなされます。しかし、大多数の人は自ら望んで歯車になっわけではないはずです。そんな無理な生き方を続けていると、突然燃え尽きてしまうか、うつ病になってしまいます。なぜなら、自分を偽って"不真面目"に生きているからです。だって、自分に正直であることこそが、本来真面目な生き方なのですから。
この物語では、本当の意味で生きることに生真面目なラテンの国に、少しばかりエリートの若い山下隆英君が駐在します。日本では当たり前に思われていることを忠実に守ろうとする山下君は、仕事でもプライベートでも至難の連続です。はたしてどんな騒動が巻き起こるやら……。
みなさん、この物語の中から、ぜひ、あなたらしく幸せに生きるヒントを見つけてください。
                                    

ケ・テ・バーヤ・ビエン!

風樹 茂


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